12月1日

濃厚接触という言葉の退場と入れ替わるようにして、単純接触効果という言葉をよく聞くようになった気がする。たんに接する頻度が高いほど相手に好意を抱きやすくなるという説。おそらくコロナ前であればひとつの恋愛工学的なテクニックとして、とにかく頻繁にやりとりすべしみたいな感じで使われていたのだと思うけど、いまやむしろ自分が抱いている好意を頻度にすり替えるために使われているような気がする。VTuberやスマホゲームのキャラ化された貧しい人格のアディクション的な消費に顕著に見られるようなものへの、あるかないかのアイロニカルな距離が単純接触効果という言葉には込められているように感じる。この好意は接触が濃厚だからではなく、単純で頻繁だから生まれたものにすぎないのだと。気持ちはわかる。

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カテゴリー: 日記