12月13日

洗濯を回して、干しっぱなしになっていたものを畳んで、また干して、部屋を片付けているともう夕方だった。普段作らない煮物を作ってみようと思って、YouTubeで野永喜三夫の筑前煮のレシピ動画を見て、スーパーに行った。人参、里芋、筍、蓮根、牛蒡、鶏。絹さやはいらないだろう。レジでお金を払って袋詰めの島に行くと、会社員ふうの男が大きな指輪をしているのが目についた。右手の中指に、大きな菱形の台座に「13」と書かれたシルバーの指輪を嵌めている。まさか日にちに合わせているわけでもないだろうし、落ち着いた服装とオカルティックな数字のギャップに戸惑いながら家に帰った。

煮物を作るのにはとても時間がかかる。かかりきりでないと作れないわけでもないが、なんだか家事ばかりして一日が終わったようだった。野永シェフのレシピでは、3倍濃縮の麺つゆを10倍に薄めた出汁をフライパンに入れて、火にかける前に切った端から具材を入れて、冷たいところから火を入れていく。初めて煮物をちゃんと作って、「煮含める」というのがどういうことなのかなんとなくわかった。たとえば人参のエッジが残っていることとか、牛蒡の香りがしっかり閉じ込められていることとか、具材の固体性を保ったまま一方的に出汁を染み込ませることが大事なんだと思う。エントロピーのなすに任せる西洋的なスープとか、あるいはおでんとかモツ煮とかともぜんぜん考え方が違う。「煮る」が「炒る」になってしまう直前のところ、植物的に静かな料理。

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カテゴリー: 日記