7月24日

ジムを出て地下から上がると朝4時過ぎで、うっすらと明るくなる街を家まで歩いて帰った。この街の夜を棲み処とする人もいなくなって、剥がされたままの看板や空きテナントの大きな窓に垂れ下がる汚れたカーテンが目立って、20年後を見ているようだと思った。セブンイレブンでアイスカフェラテを買って、大通り公園のベンチに座って煙草を吸いながら飲む。そこには石のベンチに混じって同じような石の上に水流をかたどった透明な樹脂がかぶさった、大きな和菓子のような奇妙なオブジェがある。それはここが川だったことを示している。いまは地下鉄が走っている。その上に長い公園がある。その上にその僕が座ったベンチと「水流」が並んで、そのすぐ脇には歌丸桜という、この街の遊郭で生まれた落語家が植えた桜が植わっている。それは「土手」に植わっていることになる。

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カテゴリー: 日記