8月8日

大和田さんがレクチャーのためひと晩だけ東京に帰り、レンタカーを借りて悠さんと十和田に滞在している永田さんのところに遊びに行くことにする。青森市街から南に向けて八甲田山を上ると急に開けた高原に出る。雲がかぶさるほどのところまで上る道の両脇にぽつぽつ温泉宿があり、下りに入ると分厚い木立に囲まれ、まだ昼なのに自動のヘッドライトが点灯する。ラジオはかき消され、森の湿気にフロントガラスは曇り、他の道と交わらずひたすらくねくねと急なカーブを曲がりながら山を下っているとだんだん怖くなってくる。ようやく人気のある景色に出てしばらくすると十和田市街に着き、美術館の野外彫刻を見ていると永田さんから集合場所のメールがある。行ってみるとそこは大きい木造一軒家の税理士事務所で、悠さんがおそるおそるチャイムを鳴らすと永田さんが出てきた。そこは普段もう使われておらず、アーティストの宿になっているらしい。永田さんは十和田湖のヒメマスを捌いているところで、青森の野菜をいくつかつまみ食いさせてもらう。驚くほど安くておいしい野菜がいっぱいあるらしい。十和田のキュレーターチームの人たちやパフォーマンス・アーティストの筒さんもやってきて、会ったときと分かれるときとでぜんぶで8回くらい突然押しかけてすみません(でした)と言った気がする。普段突然押しかけることがないので、言えるのが嬉しかったのだと思う。青森の野菜とヒメマスを使った永田さんの料理はどれもおいしかった。名前を忘れてしまったが、アスパラガスとクレソンのあいのこみたいな野菜のソテーがコクがあってとくにおいしかった。悠さんとホテルに向かいながら、1週間ぶりに冷房の効いた部屋で寝れますと言った。

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カテゴリー: 日記