8月26日

はっきり憶えていないがおそらく半年ほど腰痛が続いている。とはいえ鋭い痛みというほどのものはなく詰まり・張りがあってそれが背中全体のこわばりに響いている感じで、ベッドのマットレスや作業の椅子を買い換えたりストレッチや筋トレ、セルフマッサージをしたり鍼に行ったりするのだがどうにもすっきりせず、なかなか寝付けなくなってきた。凝りというものは極大に見れば僕の全生活とその歴史がなす複合的な線の絡まりとしてあるはずで、症状の確かさとその「病因」のとっかかりのなさのあいだで毎夜低徊して動画や記事を調べ体をもぞもぞと動かすのは、不思議と楽しくもあった。適当な空気でさえあれば趣味を問われて「腰痛」と答えるかもしれない。それで、アマゾンで買った鍼のマットが夜に届いて早速試してみる。マットの大きさは背中を覆うくらいで、スポンジにかぶせた綿のカバーの上にプラスチックでできた高さ5ミリほどの三角錐の棘がびっしり並んでいる。文字通り針のむしろだ。同じ作りの半月型の枕も付属しており、マットの上に仰向けになって寝て、首の下に枕を置く。背中の棘の痛みは思ったほどではない。人工芝の上に寝そべるときのむず痒さをちょっと誇張したくらいだ。しかし首は狭い面積に頭の重さがそのまま加わるぶん胃が引き攣るような痛みがあるが、それもたんに痛いだけなんだと思ってそのまま指示通り20分きっかり寝る。時間が経つにつれ痛みは熱に取って代わり、背中に血が集まってくるのがわかる。サウナよりずっとダイレクトで、鍼に通うよりずっと手っ取り早い。立ち上がると少し背が伸びたように感じるほど背中が自然にゆるんで、煙草を吸っていると素直な眠気がやってきた。試してみている妻を見届けてそのまま布団に入って寝た。しばらくすると彼女がやってきて、そのままマットで寝てしまっていた、あれはなんなのかと聞いた。

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カテゴリー: 日記