11月4日

昼過ぎに起きてシャワーを浴びて、五月女さんと彼のお父さんとおじいさんの展示を妻と上野に見に行く。日記は電車のなかで携帯で書いた。上野公園を横切って住宅街に入る。古いアパートの最上階の三つの部屋に分かれたギャラリーで、おじいさん、お父さん、五月女さんの作品が順にふたつずつ展示されている。同じかたちの部屋に、同じ配置で、同じサイズで。しかしお父さん(政巳さん)の部屋にだけ入口の近くにスケッチブックを撮影したスライドが流される小さなディスプレイがあって、そこには小山市旧市庁舎の解体の様子を1年半以上ものあいだ描き続けているスケッチが映し出されている。展示を見終わって部屋を出ると五月女さんがいて、そこに百頭さんと藤林さんが階段を上がってきて、みんなで屋上に行って話をする。不規則にうねった区画に背の低い住宅がぎっしりと詰まっている。同じ小山市出身の大和田さんの話になって、彼が地元にいるとき五月女さんを誘ったのだが体調が悪いので行けないと言うと、公園でひとりでクリケットの練習をしているインド人に「ナイス」と声をかける動画が送られてきたらしい。みんな大和田さんの変なエピソードをひとつはもっていて、彼がいなくてもその話で場が明るくなる。お父さんも上がってきて、「俺はオンブズマンだから」と言って、遅々として進まない工事を描く理由を説明する。オンブズマンであること、重機、土、作業員を描くこと。そのふたつは彼のなかでごく当然のこととして繋がっている。その当然さがこの100年の、いちどお邪魔した、猫たちの住む家のある、あの町の一部なのだと思う。

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カテゴリー: 日記