3月3日

松江の義両親が趣味で習っている仕舞の発表会で東京に来ている。仕舞とは能の演目の一部を衣装などを簡略化して演じるものらしく、それがどういうものでどういう感じで見るものなのかわからず不安だったが、前々からちゃんと来るようにと念をおされていたので静かに観念して妻と水道橋まで出て、彼らが泊まっている東京ドームホテルのロビーで待ち合わせる。名古屋から来た義姉も合流して交差点を渡ったところに能楽堂があって、用意されていた高そうな弁当を三人で食べる。親戚がふた家族くらい来たり、義父の友人の早稲田の教授が来たり、お世話になっているらしい先生が来たりして、なるべくニコニコしながら半分そこにいないみたいになるべくランダムなタイミングで煙草を吸いに立っていた。そろそろ出番だというので客席に入る。発表者はそれぞれ5分ほど、謡だけの発表はひとりの鼓を、舞の発表は四人の囃子と四人の謡を伴って演じる。伴奏者たちはプロらしい。ぽんぽん進むので存外見やすかった。浅く坂になった客席が四角い舞台を正面と向かって左側から臨み、舞台には立派な屋根が劇場の天井とは別に架かっている。ミュージックステーションみたいなものだと思って見ればいいのだと思う。義父が謡を、義母が舞を発表したのを見て、ロビーで親戚一同の集合写真を撮って、かっこよかったです、またチャンスがあれば見させてくださいと言って明日が締め切りなのでと断ってひとり先に帰らせてもらった。実際そうなのだ。少し仮眠して朝まで原稿を書いていた。

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カテゴリー: 日記