4月24日

夜7時前に大和田さんから電話で、曽根さんと飲んでいるから来ないかと誘われ、桜上水まで出る。横浜から新宿へ、新宿から京王線で桜上水まで1時間半。もうだいぶお腹が空いていて、思いつきで呼んでもらってお腹が空いたままこうして出かけることが、これからまだどれくらいあるのだろうかと思った。コの字型のカウンターだけの、去年(?)ふたりと詩の朗読を録音したときにも来た店で合流する。曽根さんと握手して、肩や背中をさすり合い、妻以外の人間とこんなに顔を近づけてスキンシップをすることもないなと思う。ウーロン茶とチャーハン、ウドの皮のきんぴらと若竹煮を注文する。ふたりはもうだいぶ酔っていて、回転する話のなかで覚えられないものだけが蓄積していく。ミケ、あるいはミケランジェラと呼ばれる色の薄いきれいな猫がカウンターに出てきて、曽根さんのお父さんの幼なじみだという女将さんも客席でビールを飲む。船に乗っているようだ。曽根さんがしきりに「あぶらーめん」が食べたいと言うので、こんなに酔っているのにそんなものを食べて大丈夫なのかと心配になりながら着いていって、こちらも50年前からありそうな、大学生だらけの店であぶらーめんを食べる。大男が二人がかりで空いたテーブルを、北野武的な静かな速さで片付ける。甲州街道を曽根さんの実家に向けて歩きながら、彼は石工は感情がないわけではないが、それは5時に仕事が終わってからのことで、それまでは石になっているのだと言った。路地を入ったところにある実家は建築家のお父さんが建てた家で、くすんだコンクリートに枯れた蔦が這っている。60歳の友達の、90歳近い両親が住む家に泊まらせてもらうのだ。プロジェクトごとのバインダーや本に囲まれたお父さんの仕事部屋に僕と大和田さんの布団をあらかじめ敷いていてくれて、曽根さんにまた明日と言ってそこで寝た。

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カテゴリー: 日記