3月27日

 最近はフェネスのEndless SummerやBecsばかり聴いている。中学の頃ソニック・ユースが好きで、でも好きなアルバムはSonic NurseとかMurray Streetとか、気づくとジム・オルークが参加しているものばかりで、これは結局このジム・オルークという人が好きなんじゃないかと思い(調べると東京在住でびっくりしつつ)彼の作品をよく聞くようになった。日本版のEurekaのライナーノーツに「佐々木敦(HEADZ)」とあって、オルタナティブロックのCDで「田中宗一郎(snoozer)」とか「渋谷陽一(Rockin’on)」という表記は見慣れていたので、HEADZという雑誌は東京にしか売ってないのかなとか思っていた。ともあれそういう流れでMegoレーベルの作品を聴き漁っていてフェネスを知って、Mego創始者のピタとフェネスとジム・オルークがFenn’O Bergというユニットを組んで日本ツアーをしたのが、2010年、高校3年の年の秋だった。放課後電車で1時間ほどかけて広島のクアトロまで行った。学ランでうろついていると補導されるのでわざわざ持ってきていた私服に着替えて。残念ながらこの回の演奏は音源化されていないがこのツアーはLive in Japanというアルバムにまとめられている。

 Endless SummerやBecsはアンビエントやドローンに寄りすぎていないがFenn’O Bergみたいに聴いていると他のことができなくなるほどでもないのでちょうどいい。それにギターの音が好きなんだと思う。博論を書いているときはマイルス・デイヴィスの50年代のアルバムをよく聴いていた。彼とドゥルーズはほとんど同い年で、50年代前半は彼らが20代後半だった時期だ。マイルスはマラソン収録でアルバムを3枚作り、ドゥルーズはヒューム論『経験論と主体性』を出した。それで博論のモチベーションが上がるわけでもなかったけど、雰囲気は大事だなと思って。どちらかというと追い詰められて毛羽立っていた気持ちを落ち着かせてくれた。Birth of the CoolをBoplicityからかけるという聴き方をいちばんよくしていた。

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カテゴリー: 日記