日記の続き#305

妻と長い散歩をする。中華街の端っこにある小さなセレクトショップに行って、DAIRIKUのマルチカラーのジャケットを買った。形はおおよそオーソドックスなデニムジャケットと同じだが、ぱっと見密度のあるコットンのような質感の柔らかいポリエステル生地で作られていて、表情に動きを出すことでいかにも古着っぽい野暮ったさを回避している。サイドポケットが付いているのも嬉しい。最近また服を着るのが楽しくなってきた。それにしても「質感」とは変な言葉だ。最初「テクスチャー」と打って、ちょっとイージーかなと思って書き換えた。

そういえば先日のミーティングで福尾くんは文章(訳文)の読点が少なめだから、こっちで多少揃えるかもしれないと小倉さんに言われて、たしかにそうだと思った。別のひとにも何度か言われたことがある。翻訳に関しては原文に合わせていたらそうなったというところも大きいのだが、たぶん順接・逆接、あるいは列挙や言い換えといった明白な機能を託せるところにしか点を打たない傾向があるんだと思う。つまりなるべく句点に翻訳可能な読点を使いたいということだ。するとリズムや呼吸を作る負荷が語彙の側にかかる、というか、そういう負荷を自分に課すためにいつからかそういう句読法になってきたんだと思う。