日記の続き#329

商店街に昼食を買いに行った以外はずっと家にいた日だった。夜は昨日買っておいた材料で麻婆豆腐を作る。豆腐を茹でる湯を沸かしながら、大蒜、生姜、葱と豆豉を刻む。水溶き片栗粉も作っておく。挽き肉を炒めて甜麺醤と醤油で味を付けて、火が通ったらバットに下ろす。油に大蒜と生姜の香りを移しながら豆板醤にもしっかり火を通しながら、ポコポコと沸き立ち始めた豆腐を湯から上げておく。お湯をザルに流したあとで鶏ガラスープが200mlほど必要なことを思い出してケトルで湯を沸かす。同じフライパンに肉、豆腐、豆豉を入れて、まずお湯だけ200ml入れてから味見をする。やはりこれだけだと味がくっきりしないので鶏ガラスープの顆粒を少しと、一味唐辛子を入れる。葱を加えてさっと和えたら火を止めて、慎重に水溶き片栗粉を垂らしては混ぜる。いい粘度になったらまた火を付けて花椒の粉を振って、ごま油を垂らして一瞬強く煮立たせる。

夜中。雨。たった4日ほどしかまたいでいないが、こないだの名古屋の雨と今回の雨とではぜんぜん違う。地上から熱を吸い取るような雨と、空に蓋をするような雨。

絶版本や日本にありそうな洋書を探すときに使う「日本の古本屋」というサイトで、ふと自分の名前で検索してみると『日記〈私家版〉』が荻窪の古書店から23000円で売られていた。定価は3200円だった。まあいつか誰かが買ってもおかしくはない。この店はいくらで買い取ったのかが気になる。