日記の続き#339

喋りがちな日。目黒の出版社まで打ち合わせに来て、編集者相手にブレスト的に書こうと思っていること、原稿には書けないけど話すと通りのいい前提にしている事情とかを話した。聞きながらそのつど自分の言葉で言い換えて確認してくれるのでとても話しやすかった。原稿の打ち合わせとしては正しいあり方なのかもしれないけど、なんだか喋りっぱなしで申し訳なかったなと思いながら勝手が分からず入るのに苦労したオフィスビルを出た。目黒。お腹が減ってはいるが街の感じが気に入らず何も食べたくないのでそのまま神楽坂に向かった。迫鉄平さん(以前書いた個展レビューグループ展レビュー)の個展をやっているスプラウト・キュレーションに入ると、いちど原稿を頼まれたことのあるギャラリストさんに噂をすればだと言われた。そこにいた若い人が向き直って名刺をくれて、誰々さんからよく話を聞いていますと言われたが、その誰々さんには会ったことがないと思うと言って変な感じになった。博論出されたんですねとか、日記読んでますとか言われたのでお礼をして、その人は帰っていった。展示はDMがとてもカッコよくてもともと期待していたのだけど、やはり素晴らしかった。彼がここ1年ほどTumblrに毎日10枚ずつ投稿している散歩中のスナップをもとにした作品が中心となっている。この日記を始めたときから勝手に彼のTumblrを意識していて、毎日感心していたのだけど、そういう広い意味で日記的な実践の展開のしかたとしてとても刺激を受けた。ギャラリストさんにとても面白かったですと言って、もうちょっと何か言った方がいいのかなと思ってひとしきり批評っぽいことを言った。駅に戻る長い坂で少し荒れた鼻息をマスク越しに聞きながら、今日は喋りすぎたなと思った。酸欠で少し頭痛がする。駅の自販機でポカリを買って飲みながら帰った。(2021年5月14日