日記の続き#348

日記を始めた頃は昔のこと、子供の頃のことや大阪に住んでいたときのことをわりと頻繁に書いていたのだけど、最近そういうことを書きたくなくなってきた。そもそも昔のことを書きたくなっていたことのほうが僕にとっては例外的なことだったのかもしれない。人に昔のことを聞かれるのはもともとあんまり好きじゃないし。最初は原稿のネタになるようなことは書いてもしょうがないし日記でしか書けないこと、その日あった些細なことからいかに別のいつかや何かに飛躍できるかということをやろうとしていた気がするのだけど、いまや日付がたんなるしるしみたいになってきて、のっけから読んでいる本の話をしたりすることも増えてきた。むしろ日記的なものが一種の逃避先みたいになってきて他に書くことがないからしかたなく作った料理の話をしたりしている。しかし考えていることの話をしたいというのもそれはそれで今度は日記的生活からの逃避として書いている節もある。いよいよ日々が生活にすぼまってきて、ご飯を作ったりシャワーを浴びたり掃除したりストレッチしたりということへの憎悪を鎮めるために本を読んだり、それについて書いたりしているのかもしれない。日々と生活のあいだに。(2021年9月11日