6月4日

誕生日。31歳になった。立派なお兄さんの年齢だが、立派なお兄さんらしさを発揮するような場面はぜんぜんない。家でずっと本を読んでいた。千葉さんの『エレクトリック』をひと息で読み終えて、バトラーの『触発する言葉』の続きを読んだ。妻が夕飯を作ってくれた。鯛と春菊の春巻き、手羽中の竜田揚げ、タコのセビーチェ、じゃがいもとマッシュルームのポタージュ。鯛を切るときに呼ばれて、最初は僕が使うべきだと言うことで昨日買ってもらった包丁で切ると、ため息のように鯛が切れた。夜、外から、子供が迷子にならないように履く音が鳴る靴のような、ビニールのアヒルのおもちゃのような、キュッキュッという音が聞こえてきて、その音があまりに大きく、しかも同時にたくさん鳴っていたので、何事かと思って窓から見てみると、おじさんがひとりで歩いていて、彼が離れるとともに少しずつ音が小さくなっていった。

投稿日:
カテゴリー: 日記