6月23日

シェアバイクの日。阪東橋駅のポートで自転車を借りて、大通り公園をまるまる横断して関内まで抜けて馬車道のサモアールに入る。隣の席の夫婦がテーブルに阪神タイガースのグッズを広げて、家がタオルだらけになってかなわないと言っている。今日は阪神戦なのだ。会話は関西弁ではない。関東に住んで、中年で、夫婦で阪神ファンで、横浜に応援に来るのは楽しいだろうなと思う。こうして「関内」側では駅からすぐのスタジアムに観戦に来たビジターのユニフォームを着たファンもよく見かけるが、僕が住んでいる「関外」側ではだいたいベイスターズの青い服しか見かけない。「関内」はいまでも港であり、「関外」はいまだ地元民(移民も含め)の土地であるかのように。夕方に元町の美容院を予約していたのであらかじめ近くまで出てきたつもりが、直線距離で見ればほとんど近づいていないことに気付く。早めに店を出て、スタジアムの脇を抜け、中華街を縦断し、石川町駅のポートに自転車を停める。どこかから降ってきてそこにあるような山手の断崖を見上げながら中村川を渡って、ひと昔前の「よそいき」感を凍結した元町の商店街にある、看板のロゴが古いままのドトールに入って煙草を吸う。時間になったので美容院まで歩いて髪を切り、自転車を借りなおして鳩のように道の脇に老人が並ぶ寿町のドヤ街を抜け、近所のポートで返却し、スーパーで夕飯の食材を買って帰った。あらためてこの街には、自転車で5分10分の範囲にこれだけ異質な地区が重なり合っているのだと驚いた。

投稿日:
カテゴリー: 日記