7月8日

妻と映画を見に出かけたのだが、歩いていると風邪がぶり返して咳と鼻水が出てきたので僕だけ映画を見るのは止めて、そのあいだ近くのベローチェでドストエフスキーの『白痴』を読んでいた。

出かけたのは桜木町のショッピングモールで、映画の前にふたりで店をぶらぶらしたりご飯を食べたりした。有隣堂が始めた本と雑貨の店があって、バースデイブックという、365日それぞれに生まれた作家の文庫本を集めたコーナーを見ると、彼女の誕生日はウィリアム・バロウズで、僕の誕生日は中原昌也だった。牛タン定食の店でご飯を食べていると、後ろの席の男女がよく喋っていて、僕は相手と同じくらい喋るということがぜんぜんできないなと思っているとちょうど、妻がわたしたちってあんまり喋らないよねと言った。喋らないのは僕なのだが。映画の後合流して帰った。

長いこと「たくみ」という名前でツイッターをやってきたが、いい加減それもなんだかなあと思って「福尾匠」に変えて、アイコンも写真にした。「たくみ」にしていたのは、たぶん、僕がここ7年ほどのあいだ、弟っぽいポジションで自分を捉えてきたからで、実際僕を「たくみくん」と呼んでくれるようなひとたちに甘えつつ、彼らに話せば笑ってもらえるという安心のもとで方々で生意気なことを言ったりしてきた。でももう僕も31歳だし、どんどんみんなツイッターをやらなくなっていくし、僕が僕に思っているそういうポジショナリティみたいなものはとっくのとうになくなっているのだと思って、本名と自分の写真に変えた。

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カテゴリー: 日記