8月3日

暑いのでどうしたって朝起きる。長細い宿泊棟は日中の日差しでオーブンのように天井、壁、床に蓄熱するので、どこも暑いが広いラウンジと狭い客室とではまたぜんぜん室温が違う。みんなは創作棟に移って、ひとりでラウンジに残って原稿を書く。昼に大和田さん、大城さんとで武田さんの車に乗せてもらって定食屋に行って、同じメンバーで夜はビッグ・ボーイで大俵ハンバーグを食べた。朝起きてちゃんと仕事をするとあっという間に一日が終わる。夕食の後も作業をするつもりが、部屋に帰って横になるとそのまま寝てしまった。

連載の書き方が決まっていく経緯が僕としてはおもしろかったので、忘れないうちに書いておく。内容ではなく純粋に量的な観点の話だ。まず、だいたい1年間毎月1万字書けば本1冊ぶんにはなるだろうということで編集者と話がまとまる。どうやって毎月1万字書くかと考えて、3000字のエッセイなら3つ、あるいは2000字のエッセイであれば5つ書けばよく、各回を3つか4つのセクションに分割することを思いつく。つまり、1年かけて3000字のエッセイを36個書けばいいのだ。これならできそうだ。しかしそうすると各回のテーマ的な統一性をどう確保するかという問題がある。たんにバラバラではしょうがない。このあたりまでが実際に原稿を書き始めるまでに考えていたことで、初回のドラフトをとりあえず思いつく順番に書き、行き詰まったところでセクションを切って別の話題を書いたり、前に書いたものをなおしたりする。そうしているうちに立ち上がりとトーンが決まってきて、初回は3つのセクションで言葉−物−言葉とテーマを往復するようなかたちになりそうな気がしてくる。それで、各セクションにA-1, B-1, A-2という見出しをつけることにして、連載自体のタイトルを「言葉と物」(!)にすることにする。第2回を書くまではテーマの系列がC, D…と増えていく可能性も考えていたが、できあがってみるとB-2, A-3, B-3というかたちになり、これはもう、タイトルも「言葉と物」だし、ABA/BAB/ABA…と続けていくのがよさそうだと思う。つまり、奇数回は「言葉」を主軸に「物」の話がエピソード的に挟まり、偶数回はその反対になるわけだ。というか、この形式であれば伏線やら展開やらを無理に考えなくても勝手にそう読まれるようなものになるし、どこかが浮島になってもそれはそれでいい。その気楽さが気に入っているところだ。とはいえずっとこのかたちでやるのもどこかでキツくなってくるかもしれないし、そうなったらひとつの話題でまるまる1回を書いたりして気分を変えるだろう。

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カテゴリー: 日記