8月4日

2時間ほどで起きて、そのまま朝まで連載の原稿を書く。起きてきた大和田さんがオープニングに着るためのDinosaur Jr.のTシャツを探していて、僕も中学のときGreen MindのTシャツ着てました(あの女の子を見るといつも『ダンス・ダンス・ダンス』のユキを思い出す。ちなみにこの小説は、雑誌の広告記事を書いていた主人公がこれからは「ただの散文」を書くのだと決意して終わる)と言って、しばらくそういう音楽の話になる。原稿はなんとか約束の午前中にできて、編集者にメールで送ってから日記を書く。みんなで山を少し登ったところにある木造一軒家のカフェに行って、上品なおばあさんがひとりで作るまげわっぱに詰められた優しいランチを食べて創作棟で公立大のハクくんと合流して、大和田さんが山から引きずり降ろした石灰岩を一緒に砕く。炭酸水を作るために砕いて表面積を増やすのだ。山の岩から海の砂になるのを数日で人力でできるわけだから、地質学的な力は案外弱いのだと大和田さんが言う。とはいえ作業は過酷で、安藤忠雄的に直線的な野外の廊下に敷かれた板の上で太陽に焼かれながらハンマーで岩を砕き、篩にかけて砂を選り分け、残った岩をまた砕くのをえんえん繰り返す。そういう地獄がありそうだ。巻き上がる粉塵にハクくんが海みたいな匂いがしますねと言う。海が石灰岩の匂いなのかもしれない。

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カテゴリー: 日記