8月17日

煙草が吸える席がある、関内の高架を越えたところのカフェ・ド・クリエで作業をする。長い白髪を後ろでくくってその上にバンダナを巻き、その上から色のあせたキャップをかぶっているおじいさんがJapan Timesを読みながら英語でノートを取っていた。その書きぶりからしてこの人は日常的に英語を使っているのだろうと思った。いでたちも「純日本」的な生活圏で行き着くパターンのものではないし。するとカタコトの日本語で、もしよろしければ、こちらもお盆が明けたばかりでスケジュールも空いておりますのでそちらのご都合のよい日に、もしご興味ありましたらそちらに伺いたいのですが、と電話をする声が聞こえてくる。ちらっと見るとひょろっとしたトルコ系か南欧系に見える男で、完璧な構文と危なっかしい発音が不釣り合いで何かを読み上げて留守番電話にかけているのかと思ったがはい、ええ、と受け答えをしている。もう留守番電話なんてしないのだ。いろんな人がいる、このあたりはいろんな国の人がいる、いろんな国の人が様々な土着性と国際性の度合いで暮らしている、いずれもいろんな国の人がいるが「関外」は土着性寄りで「関内」は国際性寄りだと思ったが、僕もフランス語の本を四角張った熟語に訳した言語体系と闘っているのだった。いったい誰が言表行為の集合的アレンジメントなんて言うのか。

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カテゴリー: 日記