9月24日

RIZINを見る。金原がクレベルに勝った試合が素晴らしかった。僕と同世代の朝倉未来や平本連が自分の価値を吊り上げておいて負けて鬱みたいになっているなか、40歳の、PRIDE解体以降の冬の時代を生き抜いてきた金原がまだ日本人が誰も勝っていないクレベルに最後まで何もさせず、なんというか、やっぱりそうだよなと思った。見え方ばかり気にして、エッジが立った仕事しか選ばず出し惜しみをしているひとより、こういう勝とうが負けようがずっとやってきたひとのほうがずっと強いのだ。

格闘技はプロスポーツのなかでも、キャリアを通してできる試合数が極端に少ない。20年選手の金原でもたしか今回で50戦目で、これほど試合ができる選手はとても珍しい。勝たないと呼ばれないし、勝つほど試合を選ぶようになる。他方でこの少なさが「ストーリー」を呼び込み、PRIDEやRIZINの北米の総合格闘技に対する独自性も、各選手のストーリーを興業に編み込んでいくところにある。しかしそうすると、ストーリーのために試合をするような逆転現象が起きてくる。プロモーター的な視点を内面化してしまうわけだ。そこまではいい。しかし朝倉兄弟や平本のつまずきは、それを内面化して「見せる」ことに手を出してしまったことに起因するように思われる。そうするとどうなるか。負けられなくなってしまうのだ。強く同情する。

原稿は一日休み。本を読んで頭をシャッフルする。

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カテゴリー: 日記