12月13日

立命館で2コマ授業。最初ふたりしか来ておらず、いやはやと言っていたらもうふたり来た。異分野のひと向けの発表のリハーサルで、そもそも固有名が研究テーマに入ることの特殊性から考える必要があると話す。固有名がタイトルにあるということは、それはもう歴史研究だと思われると思ったほうがいい。人文学の研究者は、固有名の世界と普通名詞の世界を行ったり来たりする必要がある。著者がいて、その研究者A, B, C… がいて私がおり、その連なりにおいて「概念(の布置)」が変わるというという固有名の世界と、研究において取り扱われる問いが一般的に言ってどのような事態と対応し、著者がそれにどのように応答しているかという普通名詞の世界は、まったく異なる価値づけのシステムに従っている。大学院にいるといきおい「先行研究との差異化」がすなわち研究の価値なのだと思ってしまうが、固有名も概念も使わずにそのつどの相手や場に応じて自分の研究を語る練習もまた必要で、結局その行き来が大事なのだ、千葉さんなんて「二項対立」の説明から始めてるでしょ、これは途方もないことですよと話す。

帰り、京都駅の近くでAmbient Kyotoの展示がやっていることに気がついて、寄ってみることにする。古い銀行の建築をまるごと使った展示で、部屋ごとに作品がある。どれもスピーカーで取り囲めば音楽が「展示」になるのだという感じで退屈だった。廊下の壁に貼られた吸音材がベンチのクッションにもなっていたのは面白かった。アンビエントはこっちのほうにある。しかし入場料3300円は高すぎる。

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カテゴリー: 日記