1月17日

最後の京都への出勤。もう2年も働いた。移動さえこれほど長くなければ来年度もやりたかったが、こればっかりはしょうがない。学生それぞれの研究発表を1学期に2回ずつ聴く。合計30人くらい見ただろうか。それぞれがイチから自分の研究を立ち上げて、苦闘しながらそれにかたちを与えていくのを見ることができていろいろ勉強になった。自分と自分の内なる「先生」との葛藤が先行して、彼らには読者がいないのだと、僕は読者でいることを見せ、読者がいうることを示すべきなのだと、途中から思うようになった。四条烏丸で黒嵜さんと合流して、ホーリーズカフェでまた長話をした。『非美学』の内容をわりと詳しく話す。つねに僕の話すことの一歩先まで理解していて、僕の仕事をいちばんよく知ってくれているのが彼でよかったと思う。こんなにストイックな内容が出てくると思わなかったので、誰も喜ばないと思うんですよねと言うと、どういうひとがこれを自分のことだと勘違いして使ってくれそうなのかと考えてくれる。『眼がスクリーンになるとき』のときもそういう話をしたのを思い出した。

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カテゴリー: 日記