3月19日

3日ほどかかって、『非美学』のあるセクションをまるごと書き換えた。そこさえ軽くなれば、あとは読者を引っ張っていけるだろうと言ってもらったからだ。そのセクションが重たくなっていたのは、専門外のことを扱っていて、書きながらそのつど足場を確かめるように書いていて、しかし読む側からすれば無駄にワーキングメモリを食うところもあり、要するに自分を守るための書き方になっていたのだ。書き換えるということはそういう自分の弱さに向き合うことでもあるし、それに時間がかかるということは、もったいなさや強情さが先に立ってそれができないというさらなる弱さに直面することでもあるし、幾重にも情けなかった。書き終わったあとは泣いたあとのような気分だった。あと3日で初稿の著者校正を返すことになる。

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カテゴリー: 日記