5月28日

文庫化するだけだからほっとけば出るだろうというくらいに考えていたが、ここ数日『眼がスクリーンになるとき』のゲラ校正と座談会文字起こしの構成にかかりきりになっている。外は暗く曇っていて、小雨だが風が強く、傘を畳んで歩く。しかしまあ、この作業が終われば、連載も隔月にしてもらったし、週一のフィロショピー以外はほんとに暇だ。トークみたいなその場に行けば終わる仕事はなるべくたくさんやって、あとはなるべく自由を確保したい。日記ももう終わるし。でも露出としてはこれからしばらくむしろ増えるんだろうし、変なものだ。夕飯は鶏もも肉の梅と大葉のソテーと、きゅうりとマッシュルームの和え物を作る。ひと口大に切った鶏を焼いてフライパンから出して、そこにバターとすりおろしにんにくを入れて弱火で香りを出して、梅肉を加えて鶏を戻して和える。皿に盛って粗挽き胡椒をたっぷり、刻んだ大葉を肉が隠れるくらいたくさんかける。夜になると風がもっと強くなって、家がかすかに揺れる。スピノザは風とか陽光とか、そういうものがあるだけでぜんぶ哲学できちゃうひとだったんだろうなふと思う。僕はそうじゃない。

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カテゴリー: 日記