9月25、26日

9月25日

シットとシッポの収録日。いつも40分ほど収録して、荘子くんが駐車料金がかからないように車を動かしてからまた収録する。1時間停めているだけで数千円かかるらしい。前半と後半のあいだに事務所の裏で煙草を吸っていると車を動かし終えた荘子くんが来て、キャメルの箱を見て昨日観たらしいラクダの動画の話をした。中近東の砂漠ではラクダの口から大量の塩を入れて、浸透圧で吸収できる水の量を増やしているらしい。しかもラクダは体内の水分量が40%まで落ちても大丈夫らしい。

9月26日

フィロショピーのサイトのデザインを買って出てくれたデザイナーの方と打ち合わせ。このサイトと同様完全手作りでやっていたのだが、せっかくやっていただけるならということでお願いしていて、デザイン案を見せてもらったらすごくよかった。ちょうどそろそろ第4期の告知をするのでそのタイミングで公開しよう。サモワールまで来てもらっていて、隣の席に、久しぶりに会ったらしい上品なおばあさんとおじいさんが座っている。おばあさんが「ほら、あの黒人の人よ、なんだっけ、わかるでしょ、テレパシーで読み取ってよ」と言っており、いいなと思っていると、「あ!そう!マンデラだ、ネルソン・マンデラ、17歳のマンデラくん」と言った。

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9月24日

急に涼しくなって、夏のあいだめっきりたべていなかった丸亀製麺を食べがてら、妻と散歩をした。大通り公園の帰り道、鉄の横棒だけでできた座りにくいベンチに中国人のおばさんが4人並んで座ってお喋りをしていていいなと思った。夕闇に色彩が潰れて溶け出していくような輪郭から、はっきり分節された意味のわからない言葉が飛び出してくる。そういうお喋りは若者だけのためのものではないよなと思った。

夜中、こないだ黒嵜さんにおすすめされた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み始めた。みんな褒めているので面白いのだろうとは思っていたが、同じように褒められていた『異常』は微妙だったので読むつもりはなかった。読みながらspotifyのAIを使ったシャッフルで音楽を聴いているとPrefuse73のchoking youという曲が流れてきて、それがとてもよかったのでその曲が入っているone word extinguisherというアルバムを頭から聴いた(タイトルがかっこいい)。中学のときPrefuse73のアルバムはひととおり聴いたはずだが、当時はエレクトロニカ寄りのものが好きで、このアルバムの冒頭のクラシカルなヒップホップの感じが合わず最後まで聴かなかったのかもしれない。でも当時もchoking youから聴いていれば好きになったと思う。そういうすれ違いがそのまま宝箱みたいなものであるわけで、それは年を取ると自動的に生まれていくのだなと思った。

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9月23日

新宿へ打ち合わせへ。思えば仕事を依頼する側として打ち合わせをするのは初めてかもしれない。せっかく都内に出たからぶらぶらしようかとも思ったが、腹が減り、しかし近くの店はどこも混んでそうだし、ちょうどいい店を探すのも面倒だし、食べているうちに夜になってラッシュに巻き込まれるのも嫌なので、結局JRで関内まで戻ってバーガーキングでチーズワッパーを食べた。

『八月の光』を読み終えた。始めから終わりに向かって書くのではなく、真ん中から始めて別の真ん中に抜け出るような書き方だけが信じられるなと思う。

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9月22日

夜中、10キロ走った。いままで6キロほどだったので走りきれるか不安だったが、走ってみるとむしろ8キロを超えたあたりからやっと肋骨で走る感覚が出てきて6キロのときより速く走れて、やってなかっただけなんだなと思った。遠くの光に胸が引っ張られるように走れる。とはいえ1時間きっかりかかっているのでペースはぜんぜん速くない。歩いて身体を冷ましながらコンビニでポカリを買って飲んで、次のコンビニでキレートレモンとバナナ味のプロテインを買って飲んだ。

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9月21日

なんだかんだで結構世界陸上を観ていた。次回も北京開催で時差が少ないからなるべく観たいと思った。記録を競うだけで闘うわけじゃないものには独特の爽やかさがある。ドゥルーズのプラトン論は、イデア概念には「競争(アゴーン)」というモーメントが内包されており、それはアテナイの民主制と切り離せないという話をしている。イデアを措定するということは、それに相応しい者は誰かを競い合うことを含んでおり、それが最終的にはプラトンの哲人国家論に結実する。大谷翔平のCMみたいなツルツルした国家観だ。最終日の国立競技場は大雨で、みんなの肩が丸く光っていた。

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9月19→20日

ミヅマアートギャラリーで開催されている「MAD IMAGE」展のトークを聴きに行く。黒嵜さんとtomadさんがゲストで、キュレーター&出展作家の梅ラボさんと名もなき実昌さんが司会。僕も最近のトークで感じたことだが、作家の無力感にお墨付きを与える役割を批評家に押しつけている感じが垣間見えてキツいなと思った。黒嵜さんと大前さんと近くで中華を食べているところに八木くんとotaku can change the worldくんとギロチンくんが合流して、さらに名もなきさんや竹久くんも集まってきた。もう終電は諦めて、5人ほどで新宿へ移動して歌舞伎町のデカメロンで展示を見た。1階がバーで、その日はギャルがパワーを注入するイベントをしているようだった。ギャラリーは狭い階段を上った2階にある。半分が森になっていて、枝に吊られた虫かごのなかにパンで作ったコアラがいる。コアラはパンで、パンは小麦粉で、小麦粉は植物だから生け花らしい。2時頃に上野で飲んでいたらしい布施くんとけんめいくんも合流してきた。久々のそういう夜で、始発でみんながばらけてから黒嵜さんと珈琲貴族エジンバラに移ってようやく落ち着いて話せた。夜を明かしたくたびれたひとたち相手にこんなに丁寧に接客してくれる店はないだろう。朝の混雑を見越してだろうが店員が6人もいる。総じて、みんなもっと批評家にすごいものを期待していいのにという話をした。

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9月17、18日

9月17日

たぶん麻婆茄子を作った日。二日も経てば大方の細部は流れ去ってしまう。明るくなるまで『八月の光』の続きを読んだ。何かが起こりそうになると場面が飛び、それによって語りが多元化するのだが、これはそういう構成というより、フォークナーも本当に何が起こるかわからなかったのではないかと思う。そういう感じはわかる。

9月18日

シットとシッポの収録。いま唯一の、1週間というスケールを報せてくれるルーティーン。いまだに湘南新宿ラインと上野東京ラインを間違えてしまう。上野東京ラインは川崎と品川にしか停まらないので、横浜から新橋まで25分ほどで着き、そこから銀座線に乗り換えるのが早いのだが、湘南新宿ラインは大崎やら恵比寿やらに停まるのでちょっと遅くなる。でもまあ渋谷で銀座線に乗り換えられるから大きな差はないのだが、ちょっと遅れるかなと思ったら荘子くんから15分遅れるとラインが来た。

帰り道、修理に出そうと思って壊れたスマホがバッグに入れたままになっていたのを思い出して、横浜駅のマルイにある修理店に持っていった。カウンターの男に予約してないんですけどと言いながら死んだスマホを取り出すと、僕が話し出すのを遮るように「Google Pixel 9pro Foldですね、いまインナーディスプレイの部品がなくていつ入ってくるかわからず、予約も10月末まで埋まっているので、直接Googleに送るのがいいと思います」と言われ、アクリル板の下の穴から、生きているスマホであらかじめ表示しておいた修理保証についての画面を差し出しながら、ここではこの店に持ち込むよう書かれているが、予約も埋まっており部品もないので直せないということかとさっき言われたことと同じ事を確認する。事態が進まないことを言葉数で覆い隠すように。来た道を帰って、途中で駅地下の一風堂でラーメンを食べて帰った。

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9月16日

フィロショピーのエッセイ講座初回。グループワークのためのzoomのブレイクアウトルームの設定方法やレジュメの作成や提出物の確認と共有などなど、心配が多方向に散乱して落ち着かなかったが、8時の開始までに作業がだんだん収束して、なんとかなった。日記ワークショップはこれまでいくつかの場所でやってきたが、どこでやっても、もっとずっとやっていたいという雰囲気になる。誰もが書いているが、自分のものを読んでもらえているという実感、文に透かし見える体を捉えてもらっているという実感を得られることは、物書きですらなかなかできない経験だと思う。

「ハイタワーは動かない。机の向こうに背筋を伸ばして坐り、両腕を平行にして、椅子の肘掛けに乗せている。シャツにはカラーをつけず、上着を着ていない。顔は痩せこけていると同時に肉がたるんでいる。まるでふたつの顔があって、それが重なり合っているかのようだ。ふたつの顔は、灰色の髪に縁取られた青白い禿げあがった頭の下から、眼鏡のじっと動かないふたつのきらめくレンズごしにこちらを窺い見ているようだ。机の上に見えている上体はぼってりとお化けじみて丸っこく、毎日坐っていることの多い人間らしくやわらかく肥満している。ハイタワーは身体をこわばらせて坐っている。顔には最前からのこの対話を拒否して逃げ出したいという表情が今や決定的に浮き出ている。「バイロン」と彼は言う。「バイロン、きみがわたしに話しているこの話はなんなんだ」」
フォークナー『八月の光』黒原敏行訳、光文社古典新訳文庫、130頁

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9月15日

調理用のトングの先端のシリコンが片方するすると外れやすくなって、鍋をいじっていると中に落ちてしまう。アマゾンで注文した。

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9月14日

神保町で次の次の本の打ち合わせをして、帰ってボクシングを見て、夜走った。

打ち合わせの後、JRに乗り換えるために新橋に移ってから、連休の中日の新橋のスカスカな感じが嬉しくて、駅の反対側にある喫煙可の喫茶店まで歩いてそこでしばらく作業をした。トイレに入ると壁にネイビーのカーディガンが掛かっていて、一瞬、寒がりのひとのために置かれているのかなと思ったが、そんなわけないよなと思う。

2週間くらい走るのをサボってしまっていたが、そのあいだもストレッチはしていて、本を読んだり動画を観たりして機能性を重視したものを実験しながらやっていたからか体が軽かった。

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