『置き配的』刊行(日記読者のみなさまへ)

みなさま、いつも日記をお読みくださりありがとうございます。どれくらい「みなさま」なのか、どれくらい「いつも」なのかということは、ここで日記を始めて4年以上が経ってもいまだにまったくわからないのですが、まあそれはそれとして。

拙著『置き配的』(講談社)が本日発売となりました。『群像』で連載していた「言葉と物」がもととなっており、この連載については、執筆中の苦悩や次に書きたいことのアイデアをこの日記のなかでも書いてきました。また、本書のなかではたびたび、ここで書いた日記をまるまる引用したりもしています。自分の日記を自分で引用する批評書というのはちょっと変ですが、それは、この日記があったからこそこの本が書けたということを示したかったからです。

『置き配的』の序文でもこの本は「拡張された日記帳」のようなものだと書いていますが、たんに執筆時期がかぶっているからということだけではなく、みなさんにはぜひ本書を日記の続きとして読んでいただければと思います。

振り返ってみれば『非美学』も『置き配的』もここでの日記も、すべて同時に書いていたわけで、僕自身ちょっと信じがたい感じがします。このそれぞれまったく毛色の違う仕事が、それでもひとつの何かであるということがこれからどう受け取られるのか、とても楽しみです。

批評や哲学というと世俗的なものから遊離したなにかという感じがしますが、実際は思弁でさえ日々のなかでなされる具体的な営為であり、しかし同時に、日記にもまた、「その日」から遊離するモーメントがつねに伏在しています。そのことの両義性を肯定する本になっていると思います。

ではまた、明日からの日記を楽しみにしていただければ。