日記の続き#254

来年から非常勤の授業がふたコマ増えそう。ひとつは院生向けの授業で、これは論文講読にしようと思う。1年間修士の学生の研究発表を聴いてきて、「書いてあることを書いてあるとおりに読む」こと、そして「研究テーマと研究対象は違う」ということ、このふたつがどうにも飲み込めていないひとが多いのではないかと思う。そしてこのふたつが組み合わさって、ぼんやりしたテーマに合致する手近な対象をもってきてそのうちの都合のよい要素を並べる、二重のチェリーピッキングのような研究になる。個別の作品なりテクストなり、そうした小さなものの細かい分析から大きい問いを引き出すことが人文学のダイナミズムだと思うのだが、細かくやることと大きく出ることとのあいだのテンションが弛緩してしまっている。「小さなものを細かく分析しつつ大きな問いを引き出しそこに一定のパースペクティブを与えている論文」を各自の関心に基づいて探し共有し、事前に全員が読んだうえで担当者がレジュメを作成し発表し議論する授業にしよう。