7月20日

ジム。懸垂を自重で10回できるようになるのがひとつの目標なのだが、まだ2回しかできない。握りを変えながらえんえんラットプルダウンをしているマッチョふたりを横目に、棒に飛びついて懸垂をする。ラットプルダウンのいいところは負荷が簡単に調整でき、広背筋にフォーカスして鍛えやすいことだが、下半身が固定されて股関節も屈曲しているので、懸垂の練習にはあまりならないらしい。なので棒でひとしきり、できるだけ懸垂をしたり、上まで飛び上がって肘を曲げた状態で耐えたり、あるいはぶら下がったまま肩だけ引き下げたりを繰り返す。デッドリフト、ダンベルプルオーバー、ベンチプレス、上述の一連の懸垂とラットプルダウン(とはいえ広背筋も大事である)を終えて外に出ると、帰宅する勤め人の流れのせいでシェアバイクのポートが空になっていて、家まで30分ほど歩いて帰る。久しぶりに真夜中のイセザキモールを歩いて、この街には「デリヘルのキャッチ」という、「円い四角」みたいなマイノング的対象がいるのだということを思い出した。

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7月19日

授業の今学期の振り返りとして、研究するうえで書くことから逃げる口実はたくさんあるが、結局は4万字の散文の塊を修士論文として出す必要があるのだからそこから逆算して考えるべきだという話をした。研究計画を立てるのも、レジュメに研究内容をまとめるのも書く力をつけるのには役立たない。修士の2年間というのは微妙な時期で、頭を低くしてそういう形式に従っていれば自動的に過ぎていく。箇条書き的なものと散文のギャップを経験するために自分がすごいと思った論文を2000字で紹介する文章を持ってくるという授業にしたが、やはりそこでも背景・要約・成果・評価といったミクロな形式に寄りかかって、何が「すごい」と思ったのかが蒸発するケースも多かった。研究の世界は「書かせない」装置を様々に配備している。だからこそ書くだけで頭ひとつ抜けられる。

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7月18日

よく喋る鍼灸師再訪。散歩は体にいい→おじさんになると散歩をしていると不審者だと思われる→だから犬を飼った→しかし最近の犬は長生きなのでおちおち飼えない→なのでみなさんには細菌を飼うことをおすすめしている→ぬか漬けって言うんですけどね、と、前回とまっまく同じ漫談が始まったので折を見てフランスじゃ犬を売っちゃいけない法律もできたみたいですねと言って向きを変えた。前回は散歩していると不審者に思われるというところでそれがフリなのだと気づかずそんなことないでしょと言ってしまった。脛の骨の外側に沿って指を当てていって、下のほうでここ痛いでしょと言われ、たしかにそこだけ違和感があるので何が違うんですかと聞くとかすかに浮腫んだようになっている、肝臓のツボですと言って、われわれは指に目があるのでと付け加えた。酒を飲まないのは黙っていた。背中が硬くなっていて、頭頂部まで鍼を打たれる。指圧に入って彼が背中を押すと、水風船のように素直に背骨が撓むのがわかる。体を起こすと視界がはっきりするでしょうと言われたが、眼鏡を取っているので視界も何もない。前もそうだったので素直によく見えます。息もしやすくなりましたと言って帰った。

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7月17日

ツイートしているといい感じに話が転がったので貼り付けておく。

たとえば哲学系の学術論文でその研究の社会的意義が語られる文字数が1000字を超えることはほとんどないと思うのだが、それを毎回頭のなかで3000字ぶんに拡張しながら書く人とせずに書く人の違いは大きい。(19:42

[↑リプライ]ここで3000字とは、出来合いの理論を使って超然と語るだけでは済まず、「馬脚を現さ」ざるをえないような物量として想定している。(19:45

多くの研究者(志望)は、公開を前提として生産する文字数が10倍くらい足りないと思う。少ないとボロを出さずにやり過ごせる。そうやって互いに牽制して小さくまとまったフォームが浸透する。(19:52

僕はここ3年は日記含め毎年20万字以上書いているし、修士を出てからで考えても1年10万字以下になったことがないんじゃないかと思う。博士の最初の2年で『眼がスク』を書いた後は依頼をこなしつつ2年で博論18万字を書いた。単純な量の問題はみんな嫌なのであまり話さないが。(20:04

それに加えて毎月1万字ちょっとの連載が始まったところ。まだ3回ぶんしか書いていないが。(20:06

[19:52の引用RT]フーコー『言説の領界』を読むとこの「少なさ」の意味がよくわかる。(20:19

あなたが「なんであんなやつが」と思うような人は、たいていあなたより量をこなしている。(20:29

なんかつらつら書いていると、僕なりのベルクソン『笑い』の読み方が作れそうな気がしてきた。自動性、映画、白痴、人を好きになること(=転移)。(20:35

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7月16日

蒸し暑さと冷房と自律神経に挟まれて、明け方には気付くと長ズボンと靴下にスリッパまで履いて、半袖Tシャツの下の二の腕に冬に使っていたレッグウォーマーを巻いて、頭には保冷剤が入った熱冷ましバンドを巻いていた。とくに二の腕をぬくめるといいと気付いたので、アームウォーマーをふたつ注文した。これでユニクロの小さく畳めるナイロンパーカーを持ち歩かなくてよくなるかもしれない。

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7月15日

昨日と同じく昼はサモアール、夜はジム。サモアールは妻と行って、ジムは開いていた。昔の悪役プロレスラーみたいな大男が体を震わせながらデッドリフトで300キロくらい挙げている。帰りにシェアバイクで関内駅前を通ると、交差点の四隅に分かれて何十人もガールズバーのキャッチが立っている。道はベイスターズとカープのユニフォームを着たファンでごった返しており、駅を越えるまで自転車を押して歩く。昼はサラリーマンや学生なんて見ないが、夜になるとこちら側は新橋みたいな街になるようだ。高架を越えるといつもの「裏横浜」で、暗い大通り公園を抜けて自転車を返して、自販機で缶のキリンレモンを買って飲みながら帰った。

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7月14日

サモアールで博論本の編集者と打ち合わせ。8割がたできた第5章の草稿を読んで、見通しがはっきりして、これならこのまま書けそうだと言ってもらえる。とくに第4章からどんどん話がドライブしているのはどうしてかと聞かれたので、いろいろ吹っ切れたのもあるけど、たぶんもはやドゥルーズ論だとは思わなくなってきているからだと思うと答えた。今後のスケジュールや並行しておこなう企画について話して、また来月会う日にちを決めて別れた。定期的に会いに来てくれるのは助かる。そのまま席に残ってしばらく作業をして店を出た。

夜、夕飯を食べてちょっと寝て家を出て、自転車を借りて馬車道のジムに行くと中が真っ暗で休館日だったので、さっき返した自転車を借りて帰った。

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7月13日

明け方、眠りに落ちながら40万円の架空請求詐欺にかかる夢を見る。どこかの埠頭にお金を届けなければならない。嘘だと気付いて、警察に言えばいいんだと思う。夢のなかの嘘を暴きたい焦りと、これは夢なのだという自覚がどうしてか切り離せなくなる。無言の、曇った埠頭の映像だけが壁紙のように張り付いている。

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7月12日

京都。酷暑。数分で止む、粒の大きい映画みたいな雨に二度打たれる。

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7月11日

昼、珈琲館で作業。ビッグサイズのアイスコーヒーを頼む。ラージではなくビッグ。やってきたグラスの写真を撮って「BIG ICE COFFEE」と書いてツイートする。馬車道のゴールドジムで入会手続きをする。近所のエニタイムは狭くて終始半端なアメリカのヒップホップがかかっており、ジムは贅沢で来ているのにこれでは心が卑屈になると思って乗り換えた。値段で見ても2000円くらいしか違わない。ゴールドジムは大きなビルの地下にあって、吹き抜けになった地下2階の体育館ほどの広さがあるウェイトトレーニングエリアから地下1階の受付を見上げるようなかたちになっている。説明を受けてロッカーに鞄を入れてストレッチエリアで体をほぐしてデッドリフトから始めた。その日その日で特定の部位を鍛えるやりかたもあるが、僕は一回で全身のトレーニングをする。すごいマッチョばかりなのかと思ったがいろんな世代の女性も多い。シャワーとサウナもついているが、たぶんもともと運動部だったからか汗をかいたままでいることにあまり抵抗がないので顔だけ洗って外に出た。筋トレもサウナも数字と熱が支配する世界だ。料理、とくに低温調理器に対するフェティッシュに駆動された料理と似ている。隣の建物にあるサモアールに入って、ここもグラスが大きいから「BIG ICE ROYAL MILK TEA」とつぶやこうと思っていたのに、そういうことを考えていたらもう飲んでしまっていた。

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