日記の続き#153

また珈琲館。妻と一緒に作業をして、外に出るともう夜で、近所の猫がたくさんいる道に行こうと言うので付いていった。暗い路地のところどころに猫が座っている。たまに人懐っこいのがいるが今日はいなかったので、彼らが逃げずに済むような距離から眺める。最近はもう「野良猫」という言葉はあまり使わないようになっていて、「地域猫」と言うのが一般的らしい。不妊手術済みの印だったか、片耳の先端が昔の切符のようにV字に切り取られている。昔に十三の七藝で見た若松孝二の『水のないプール』は駅員の内田裕也が退屈そうに切符切りのハサミをカチャカチャと単調なリズムでもてあそぶ場面から始まった。坊主頭の内田裕也はクロロホルムを窓の鍵穴から注入して眠っている一人暮らしの女性を襲う犯行を繰り返す。そういえばアニメ版の『映像研には手を出すな!』では水を抜いた室内プールが職員室に転用されていた。床にレーンの線があって、壁一面の窓から採光している。